全部、私からだった。 ~AfterStory~
「酷い! やっぱ聞いてなかったんでしょ?」
りんっくんの左袖を両手で掴んでグラグラ揺すれば、
「ああごめん。
ちゃんと聞いてたって。
多恵は高校生に好意もたれて、困ったんだよな?
そら疲れるよな」
そう言ったりっくんの顔は、さっきまでの笑顔がまるで嘘のように真面目くさっていて。
背中がひんやりする。
たちまちもの凄い不安が私の中でパンパンに膨らんで、りっくんの袖は掴んだままカチコチに身を固め、じっと見詰めた。
それでもりっくんは何も言ってくれない。
重い沈黙に耐えられなくなって、
「怒ってる?」
自ら不安な気持ちを口にした。