全部、私からだった。 ~AfterStory~


「俺の目的はたった一つ。
 お前を傷付けずに多恵を守ることだった。
 それが、多恵の望みだからだ。
 好きな女の前で、格好良くある必要なんかねぇ。
 悲しい想いをさせないようにする、ただそれだけだ」

 言ってりっくんは、柔らかい笑みをこちらに向けた。


 りっくん……

 全部――全部、私のためだった。


 わざと赤根くんを挑発するよなことを言ったり、
 騙すようなズルをしたりしたのも、全部、


 私のため。私だけの……


 格好悪くなんかない。
 メチャクチャ格好いいよ、りっくん!


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