全部、私からだった。 ~AfterStory~
「悲嘆に暮れてる暇なんかねぇぞ。
お前の人生、まだまだこれからだ。
取り敢えず、刑事の俺じゃ、お前にしてやれることなんか何もねぇからな。
あとはカウンセラーに任せるわ」
りっくんは巻き込むように私の肩を抱いて向きを変え、赤根くんに背を向けて玄関へと歩き出す。
「逮捕は? 逮捕はしないの?
僕も、母も……?
先生にあんな酷いことしたのに」
「ああ? お前、手錠掛けられるようなこと何かしたか?
多恵、何かされた?」
顔だけ赤根くんを振り返ると、りっくんはわざとらしいぐらいにすっとぼけて聞く。
演技力皆無の全身が痒くなるような猿芝居だ。