全部、私からだった。 ~AfterStory~
「ねぇ、りっくん。
どうしてあの場所がわかったの?」
帰路につく車中で、助手席のシートを心地良い角度に傾け、すっかりくつろいでいた私だけれど、ふと疑問に思って、身体をわざわざ起こして運転席のりっくんに尋ねた。
日も暮れかけて随分薄暗くなった山道を、りっくんの漆黒の4WDが颯爽と駆け抜ける。
りっくんは瞳だけをチラと一瞬だけこちらに寄越して、ニカッと悪戯っぽく笑う。
「お守り」
「え?」
ほんの少し考え、でもすぐに思い出して、ブラジャーの中のりっくんが毎日入れてくれるお守りを取り出そうと、ブラウスを肌蹴させて中に腕を突っ込んだ。
「ちょっ……おいって」
りっくんがそれを察して、慌てたふためいた声を上げるけれど、構わず一気に取り出した。