全部、私からだった。 ~AfterStory~


 とても小さなそれ。
 これに一体どんな細工がしてあるというのだ。


 マジマジと手の平の上にチョコンとのったお守りを眺めていると、

「そん中に発信器入れといた。
 超小型なのに、盗聴器まで付いてる優れもんだ。
 日本技術の進歩はすげぇよなぁー」

 りっくんがしみじみとそんなことを言う。


 またわざとらしい猿芝居だ。
 そんなので誤魔化そうったって、そうはいかないんだからね。


「いつから気付いてたの?
 これを私にくれた時には、当然、全部わかってたんでしょ?
 酷いよ、知らんぷりして黙ってるなんて」

 ブウと膨れて文句を言えば、

「全部は把握してねぇよ。
 まあ、ザックリ? 大まかなことは、な。
 多恵の話聞いて、どうも腑に落ちない点がいくつかあって」

 曖昧でいまいちハッキリしない答えが返って来た。


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