全部、私からだった。 ~AfterStory~
「あっ、あとさ、ピアノすげぇ巧いのに、多恵に教わりたいとか……」
うん、それも思ったってば。
だけどもやっぱり、自分で分かっていることでも、人に言われると何だか無性に腹が立つ。
『恋は盲目』って言うけれど、どうやらりっくんにそれは当て嵌まらないらしい。
溺愛されているとは感じるけれど、冷静に私を見ているところもどこかにあって。
そうして私の欠点を、的確に見抜いているんだ。
それでも愛してくれるって、凄いことじゃないだろうか。
私なんか欠点だらけなのに……
きっとりっくんは、私の欠点さえも愛してくれているんだと思う。
自惚れかもしれないけど。
「もういいよ、私も正直、おかしいなぁって思ったから。
まさかこんな目に遭うなんて、想像もしてなかったけど。
でもりっくんは、そこまで予測してたんでしょ?」
「ああ、うん。まぁそれなりに……」