全部、私からだった。 ~AfterStory~


「そうか?
 でもそれが、結局俺のためでもあるから」

 そう言って、りっくんは照れ臭そうに笑った。


 私を悲しませないことが、結局は自分のため、だなんて。
 二十歳を過ぎた大人のくせに、きゅうんとなってしまった。



「りっくん、大好き。
 世界で一番好き。
 だから、りっくんの代わりなんか、どこにもいないんだからね?」

 運転しているりっくんの横顔をジッと見詰めて、念を押すように強めの口調で言った。


 ちっともこっちを向いてくれないことが、凄くもどかしくて。
 でも安全運転してもらわないと困るから、ぐっと堪える。


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