全部、私からだった。 ~AfterStory~
けれど、防音室付きで楽器OKだから、ここを選んだ。
女の一人暮らしは危険だなんて、これっぽっちも頭になかった。
私だけでなく、両親でさえもそんな心配、微塵もしていなかったのだから仕方がない。
2階の通路へ出ると、私の部屋の前、ドアの横に立っている男の人を視界に捉え、その瞬間、背中にゾクリと悪寒が走った。
けれどすぐにそれは、この一週間会いたくて会いたくてどうしようもなかった人だと気付き、さっきまでの恐怖はすっかりどこかへ吹き飛んでしまい、私は無意識に駆け出していた。
りっくんは、いつものように優しい笑みを浮かべ、両手を広げて私を待ち構えてくれる。
その胸の中へと、迷わず思い切り飛び込んだ。