全部、私からだった。 ~AfterStory~
ぎゅうーと窮屈なぐらい力強く私を抱き締めたりっくんは、そうして耳元で「お帰り」と囁いた。
その穏やかで優しい響きに、全身がホワンと温まる。
心地良くて気持ちがいい。
ああ……凄く幸せだ。
りっくんの腕の中を存分に堪能してから、ようやく自分から離れた。
余程の理由がない限り、いつだってりっくんは私が満足するまで待っていてくれる。
欲しいものを欲しいだけくれる、そんなりっくんも大好きだ。
好きで好きで堪らない。
りっくんは手にしていた買い物袋を少し持ち上げて見せ、
「腹減ってねぇか?
俺が作ってやろうと思って適当に買って来た。
今日も疲れてんだろ?」
言ってニッと得意気に笑う。