全部、私からだった。 ~AfterStory~


 大家さんに頼んで鍵を開けて貰った。

 取り敢えず、スペアーキーがあるから、キーケースが見付かるまでそれを使うとして。


 それにしても、一体どこへ消えたのか。



「教室を出た時にはあったんだよね。
 帰る時、ロッカーキーを使って荷物を出したから」

 うーんと唸って考え込んでいると、

「そっからの記憶を辿るしかねぇだろ?」

 キッチンでお料理しているりっくんの声がこちらまで届く。


 りっくんは有言実行タイプ、本当に夕飯を作ってくれている、それは幸せ。

 けれど、キーケースを失くしたことが、どうにも気持ち悪くて、どっぷりその幸せに浸る気分じゃない。


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