全部、私からだった。 ~AfterStory~


 やっぱり怖い。
 恐怖と不安で胸が押し潰されそうだ。


 首に巻き付けていた両腕をほんの少し緩め、縋る想いでりっくんを見上げた。

 りっくんはそんな私を不思議そうに見詰め返す。


 ワイルドで厳つくて、お世辞にも美形とは言えないけれど、きちんと整ったその顔は男らしくて色気があって。
 うっとりしてしまうほど魅力的だ。


 そして、その黒目勝ちな優しい眼差しで、きっと私の心中なんか全部見通しているのだ。

 りっくんが泣きそうな顔をしたので、それは私の中で確信へと変わった。


 心配かけたくない、なんて。
 思い上がったことを考えた自分がバカらしい。

 もう既に、りっくんを死ぬほど不安にさせている。


 ごめんなさい、ごめんなさい、
 りっくん。


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