全部、私からだった。 ~AfterStory~


 けれどりっくんはただ一言、

「いい?」

 とだけ尋ね、私が小さく頷くと、まるでスロー再生しているかのようなゆったりとした動きでそっと唇を重ねた。


 軽く触れるだけのキスを一つ。
 角度を変えてもう一つ。

 そして食むように優しく、深く、激しく。


 隙間を割って入って来たりっくんが、私を探し求めて口の中を彷徨うから、それに応えるように自らりっくんを絡め取った。



 りっくんの唇と大きな手のひらが、私の身体の輪郭を満遍なくなぞり、もうそれだけで意識を手放しそうになる。

 下腹がざわついてむず痒くてどうしようもなくて。
 りっくんの下半身に両足を巻き付けてギュッと力を込めた。


< 54 / 233 >

この作品をシェア

pagetop