全部、私からだった。 ~AfterStory~
思わず、りっくんに勢い良く抱きついた。
どちらかと言うと体当たりのようなそれ。
全く身構えていなかったりっくんの身体はフラッと傾いて、けれど反射的に一歩後方に片足を引いて踏み締め、ちゃんと受け止めてくれた。
「絶対にここに帰って来てね。
遅くなってもいいから、何時まででも待ってるから」
とんでもなく身勝手で我が儘な要求だ。
胸の中から恐る恐る顔を上げてりっくんを見上げれば、とても幸せそうな、優しい笑顔がそこにあって。
「ん、わかった。
毎日多恵と会えるとか、嬉しい、マジで」
本当に嬉しそうにそう言ってくれた。