全部、私からだった。 ~AfterStory~


 褒められることに慣れていない私は、変な居心地悪さを覚えた。
 いえ、これは照れくささかも知れない。

 とにかく、褒められることなんか滅多にないからわからない。


「そうそう、赤根くんのお母様がわざわざみえてね、レッスンの時間枠を2つに増やして欲しいそうよ」

「週2ってことですか?」

「いいえ、今まで通り木曜日、一時間のレッスンを二時間に延長して欲しいって」


 一時間でさえも苦痛なのに、と気分がすこぶる落ちる。

「それから」

 と主任が続けるので、まだ何かあるの? とその場から逃げ出したくなった。


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