全部、私からだった。 ~AfterStory~
もうそれだけで十分なのに、あの酷く怖い思いをした二日後ぐらいに、りっくんが御守りをくれた。
昼間、仕事中に通りがかった神社にわざわざ寄って、買って来てくれたそうだ。
「多恵の安全祈願もしっかりやってきたからな」
と、得意気に笑ってりっくんは言った。
自分の方がよっぽど生死に関わる仕事をしているのに。
「りっくんの分は?」
と尋ねれば、
「自分の身は自分で守れるだろーが。
出来たら四六時中傍にいて、多恵のことも守ってやりたいけど、そういう訳にもいかねぇし、だから」
それが当たり前であるかのように澄まして答える。