全部、私からだった。 ~AfterStory~
「りっくんの方がずっと危険な仕事なのに?」
「あんま欲張ると、願い叶えて貰えないかもしんねぇだろ。
俺は大丈夫だから。
多恵に何かあったら、それこそ俺、無事じゃいらんねぇから」
冗談ぽくではあったけど、そんな風に言ってくれた。
その御守りは、私が朝私服に着替える時、必ずりっくんがブラジャーの中に入れてくれる。
肌身離さず持ち歩いて欲しい、そんなりっくんの気持ち、わからなくもないけど……
何もブラジャーの中に入れなくても、と思う。
「これで多恵と俺はいつも一緒」
りっくんが御守りを私の胸に忍ばせる時に、いつも決まって言う言葉。
それは、子ども騙しのおまじないのようなものなのに、本当にりっくんと一緒に居るような気持ちになるから不思議だ。
でもきっとそれは、御守りだけの効果では決してない。
思えば、今までもいつだって、りっくんの心は私の傍にあった。