全部、私からだった。 ~AfterStory~


 そしてあっという間に週は一回りして、再び憂鬱な木曜日はやって来た。



 冬って本当に日が短い。
 夕方と言えど、辺りはすっかり薄暗闇に包まれていた。


 そんな中、主任がくれた手書きの地図を頼りに、赤根くんの家へと向かった。

 大雑把で適当で略図化されたそれは、実にわかり辛かったけれど、なんとか辿り着くことができホッとした。


 背の高い塀に四方全て囲まれた、いわゆる大豪邸。
 ピッチリ閉められた大きな門扉横のインターホンを押す私の手は、自分でも呆れるほどに震えていた。



 玄関で出迎えてくれたのは、母親のハインリーケさん。
 テレビでは何度か見たことあるけれど、実物に会うのはこれが初めてで、嫌でも心が浮き立って余計にどぎまぎしてしまう。


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