全部、私からだった。 ~AfterStory~


 艶やかに輝く銀色の髪、薄茶色の瞳、透き通るほどに白い肌。

「お待ちしておりました」

 言って、彼女は柔らかく微笑んだ。

 その欧風な容貌と流暢な日本語のミスマッチに違和感を覚える。
 だからなのか、妙に居心地が悪い。


 母親に導かれるまま二階へと階段を上った。

 階段もたっぷり幅があるけれど、上り切った先の廊下ですら広い。
 一部屋分はあるんじゃないだろうか。
 そして、天井も高い。


 どこもかしこも無駄に空間を確保してある贅沢な構造に、感嘆を通り越して何故か呆れた。


 お金持ちの生活空間は、私の肌に合わないのかも知れない。
 この居心地の悪さは、そんな贅沢さへの嫌悪感かも。


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