勿忘草~私を忘れないで~
私がいなくなったら
「………え?」
びっくりして、変な声を出してしまった。
愛生は基本バカキャラ(でも頭脳はそこそこある)。
なのにこの時ばかりは、かなり落ち着いていた。
自分ばっかりが取り乱して…なんかかっこ悪い。
見た感じだけは落ち着いて、心の中は取り乱したまんまで黙ってた。
「……やっぱ何でもない」
なんだよそれ。
そう言っていつもみたいに、バカみたいに喋ってた。
「あ、愛生ちゃん!!…と、成留」
向こうから叫ぶのは歌奈。
後ろを追いかけるのは実夏。
「何だよ今の、”…と、成留”ってのは!」
「そのまんま。
愛生ちゃん居るなって思ったら、成留がいたから……」
「あー悪かった悪かった(棒読み)」
これが、いつもの中庭。
同じメンバーしか来ない。
男子が俺一人であろうと、
愛生以外B組であろうと、
4人は昼休み、この中庭に集まるのだ。
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