勿忘草~私を忘れないで~
サネカズラ
何だよそれ。
高校離れたら確かに会えないけどさ、100%無理じゃない。
でも、死んじゃったら100どころか、200%無理。
なのに、俺らといるのを望んだ??
意味がわからない。
何でお前、生きようとしなかったんだ??
もう二度と……会えなくなるんだぞ!?
何を考えてるか………全く、わかんねえ。
全く咲いていないのに、キンモクセイの香りがする。
『初恋』、か………
そうかもしれない。
アイツの『謙虚』でもあるかもしれない。
何にもない。大丈夫だから。
そう云うかのような、丈夫なアイツ。
「愛生ちゃん、」
病室のドアを、少しの躊躇のあと、開けた。
返事は……返ってこない。
ベットの隣の机には、赤い小さな実が沢山着いた枝。
紛れもなくこれは、サネカズラ。
ただの赤い実じゃなかったなんて、当然思っていなかった。
もしかすると、マジでコイツが4人を会わせてくれたのかもしれない。