意地悪同期にさらわれました!

自分の頬にそっと触れてみる。

……あ。
頬はぐしゃぐしゃに濡れていた。

「……」

気付かなかった。

……気持ちが…溢れたのかな。


「まだ、怖いのか?」

「え」

「黒木課長だよ。
大丈夫、家まで送るから」

…送る?

その時……急に思い出した。
先ほどのゾクリと背中を這い上がる感覚。

黒木課長の手が、口を塞ぐ感触。



「赤崎の家に行く」

「は」

…咄嗟に口にしていた。





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