意地悪同期にさらわれました!
……言えない。
絶対に気付かれたらいけない。
噂が消えるまで、
黒木が去るまで、
俺の周りの女が寄って来なくなるまで、
この気持ちを隠し通す。
その頃には俺も落ち着いてる。
野田も変な行動を起こさなくなる。
何も変わらない二人に戻れる。
憎たらしくて、大嫌いな、ただの同僚に戻れる。
―――「着いたぞ。ちょっと待って」
手に持っていた鍵で扉を開ける。
野田は黙って後ろで待っている。