意地悪同期にさらわれました!
「……大丈夫…だったか?
怖かったな」
私を抱き締めながら優しく聞いてくる彼の温もりに、ようやく私の緊張の糸が切れる。
「うっ…うっ…、ふぇぇん…」
駅の通路のど真ん中で抱き合う私達を避けながら沢山の人が行き交う。
誰が見ていても、ここがどこでも
構わない。
ただ、今は赤崎の胸の温かさに包まれていたい。
黒木課長の言う様に、赤崎は私の事なんて何とも思ってはいないだろう。
むしろ、嫌いだと思う。
だけど、いい。
私を好きでは無くても、腕の温かさは感じる事が出来るから。