未来に向かって僕たちは【短編】
『ずっと謝りたかったの。同情なんかじゃないって、本当はちゃんとわかってた。

毎週欠かさず来てくれるお見舞いも嬉しかったんだよ?

でもね、森本とあたしの置かれてる状況があまりにも違ってて、あたし、自分が世界で一番不幸な子に思えた。

そんなことないのにね。

あたしにはお母さんがいて、心配してくれる友達がいて、森本もいてくれたのに。

気づかないうちにどんどん卑屈になって、森本にひどいこと言ってた。

本当にごめんなさい』


藤原がまた謝ったので、俺はやりきれない気持ちになる。

「……うん。俺の方こそ怒鳴ったりしてごめん。

だから……どっちもお互い様ってことで、もう謝るの禁止にしない?」


電話の向こうで藤原が、鼻をすすりながら『わかった』と言って笑った。
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