未来に向かって僕たちは【短編】
2.一位の価値
小高い丘の上に建つうちの学校の周囲には、視界を遮るような高い建築物が一切ない。

屋上に出ると、雲ひとつない真っ青な空が、手を伸ばすと届きそうなくらい近い。

俺はここから見える景色が好きだ。


ひんやりとした風が、金木犀の香りを運んできて気持ちがいい。

俺はゆっくりと息を吸い込んだ。



「なぁ、あそこで寝てるの藤原じゃね?」

瀬尾が指差した方向に顔を向けると、分厚い本を枕にして仰向けに寝ている女がいた。


確かに藤原だった。

四時間目に見かけなかったから、ここでサボっていたんだろう。
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