理不尽な女神さま
夜が明けた。
目は腫れている。
そして声も枯れている。
昨日はそこからどうやって帰ったのか、
あたしはよく覚えていない。
ただ目を腫らすほど、声を枯らすほど、泣いたのだと思う。
今日はバイトもライブもない。
・・・いや、あっても行ける状態ではない。
ふと、机の上に寂しがるペアリングを見つけた。
「もうコレを付ける事もないんだ・・・」
あたしはそれをゴミ箱に投げた。
綺麗に落ちた。
でもあたしは立ち上がる気力さえもなかった。
そんな時。
ケータイがうるさくあたしを呼んだ。
「・・・もしもし?」
「ああ、俺だ。今何してる?・・・っつーかお前、今どこだ?」
「どこって・・・あなた一体・・・」
「まあいい。早く俺の家に来い。・・・いいな?」
「ハッ?ちょっ、待って下さい!あなたは・・・」
――電子音が聞こえる。
終わった。
何なんだ、と思う前にどうしたらいいのか分からない。
なんか急いでる用みたいだった。
なのに間違え電話でしたなんてオチ、
電話の彼は許さないだろう。
もしかしたら仕事かもしれない。
でも彼の言う家も知らない。
結局たじたじしながら1時間が経った。
「もう・・・どうしたらいいんだ・・・」
かけ直してもつながらない。
もういい。
気にしないでおこう。
あたしはそう思い直してまだだらけたパジャマを着替えた。