理不尽な女神さま
「社長。六時から弓羽グループの弓羽様との御会食が…」
「分かった。準備するが仕事を済ませてからにする。」
「かしこまりました」
秘書の門崎はよくできたヤツだ。
無駄な仕事はしない。
俺が認める唯一の人材だ。
しかし今日はかなりしてやられた。
幼なじみの珠紀という女は恐ろしい。
まあおかげで収穫もあった。
加瀬夏澄と言ったか…
「…門崎。仕事を増やしてもいいか?」
「それによりますが、何なりと」
「加瀬夏澄という女を調べてくれ。」
「かしこまりました」
俺は社長室の椅子に座る。
するとさっきのことが思い出させる。
あの女、生意気だった。
天下の俺を同等だと言った。
怖いもの知らずというか、肝が据わってる感じだった。
強い。
そう感じた。
「…社長」
「ん?」
「頬が緩んでおります」
「なっ…!?」
「冗談でございます。」
「かっ、門崎!」
「いえ、間違いました。“緩みそう”でございました」
「お前なぁっ!」
クスクスと笑う秘書。
男も油断できない。
…ところで、俺は頬が緩んでた…?
なんで?
あの女のせいか…?
結局考えてもわからなかった。