優しい手①~戦国:石田三成~【完】
桃は謙信の端正な美貌から目を離せなくなった。


「わ、私のものって…」


「読んで字の如く、夜伽をして…私に全てをさらけ出してくれることだよ。正室に迎えて永遠に愛する自信があるんだけどなあ」


――ディープな内容なのに、語尾が間延びしたことで桃の緊張が若干和らいだ。


「景勝さんと景虎さんが居るし跡取りには困らないし…謙信さんは奥さん居ないはずだから」


「史実通りに行くかな?私の心はもう姫にがんじがらめにされてしまっているからね。…桃」


急に真剣な口調で肩を抱き寄せられ、耳たぶに謙信の唇が触れた。


「…ん…っ」


「三成に決めるのは早すぎるよ」


桃の目に飛び込んできたのは綺麗すぎる顔に見合わない鍛えられた上半身だった。


「な、なんで脱いで…」


「姫を見ていたら疼いてきたんだ。桃…私が嫌いかい?」


…三成のことを好きなはずなのに、謙信の一言一言に桃の気持ちは謙信でいっぱいになっていく。


それがすごくいやで、桃は一生懸命謙信の肩を押して腕から逃れようともがいた。


「だ、駄目…!私…しばらくじっとしてなきゃいけないから…」


「?……………ああ、なるほど。それは無理強いできないね」


諦めてくれた、と思ってほっと息をついたその隙を突かれ、

一瞬にして桃の唇に謙信の唇が重なり、強引に舌が絡まってきた。


「ん…っ」


「早く姫の全てを見せておくれ。滾ったまま堪えるのに慣れてないから…いつか襲うよ?」


「も、やめ…っ」


「いいよ、でも正室になってくれたら沢山子供を生んでね。きっと沢山できると思うよ」


またもやあっさりと腕を離した謙信から距離を取りながら着物から覗いた太股を慌てて隠した。


「でも…子供が沢山できちゃうと跡取り争いが…」


「私はそれがいやで正室は取らないつもりだったんだけど…姫を相手に一子で私が満足するわけがないよ。姫、越後へ来るかい?」


――正室はともかく、両親は捜しに行かなければならない。

だから桃は間を作りながらも頷くと謙信がうっとりするような笑みを浮かべた。


「私の求愛は激しいから覚悟しておいてね」

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