優しい手①~戦国:石田三成~【完】
“石田三成の屋敷で奇天烈な身なりをした女子が働いている”
桃の存在はあっという間に町を駆け巡った。
だが相変わらず本人はどこ吹く風で、先程の漬物屋の例のようにあちこちに味見を持ちかけては食べ、大山は恥をかく思いをしながら仕方なく桃について回る。
三成の命令なので、逆らえはしない。逆らった時は…きっとあの凍てつく視線で刺され、痛烈なる叱責を受けるに違いないからだ。
「おぬし…買いすぎではないか?三成様は小食ぞ」
「あーそんな感じだよね。細いし色白だし…。でもとっても強い人なんだよねー歴史に名前を残す位の人なんだからもうちょっとこう、腕とかたくましくならないと」
「…三成様は脱いだらすごいのだぞ」
思わず訳の分らないことを口走った大山は慌てて口を閉ざした。
桃がにんまりしていたからだ。
「へえ、脱いだらすごいんです系?ちょっと見てみたいかもー!男の人の裸なんか見たことないもんなー」
高校は女子高。
桃は中学時代もモテたが一向に男子に興味がなく、現在まで至っている。
「あ、そこの…三成様のお小姓さん!」
町を一周し、買うものを買って漬物屋の前で通り過ぎようとした時、禿頭の店主が桃を呼び止めた。
「呼んだ?どうしたの?」
「いや、実はあれから味見…というのを試してみたらね、そしたらお客さんがどんどん増えてね。お小姓さんのおかげだよ」
「お小姓さんだなんてー。これから桃って呼んでね!あんまり長く居ないかもしんないけど」
――そう、帰らなければ。
だがオーパーツが一体どんな形で何であるかも桃にはわからない。
「三成様にうちの漬物食べてもらってね桃!待ってるよ!」
買ったものを全て大山に持たせたまま桃は店主に手を振って歩き出した。
「おぬしは…不思議な女子よのう」
「そお?お化けが怖い普通の女の子だよ!」
――もしかしたらあの堅物の三成を変えることができるかもしれない。
ついうっかり大山は桃にそんな期待を寄せてしまいながら一緒に歩き出した。
桃の存在はあっという間に町を駆け巡った。
だが相変わらず本人はどこ吹く風で、先程の漬物屋の例のようにあちこちに味見を持ちかけては食べ、大山は恥をかく思いをしながら仕方なく桃について回る。
三成の命令なので、逆らえはしない。逆らった時は…きっとあの凍てつく視線で刺され、痛烈なる叱責を受けるに違いないからだ。
「おぬし…買いすぎではないか?三成様は小食ぞ」
「あーそんな感じだよね。細いし色白だし…。でもとっても強い人なんだよねー歴史に名前を残す位の人なんだからもうちょっとこう、腕とかたくましくならないと」
「…三成様は脱いだらすごいのだぞ」
思わず訳の分らないことを口走った大山は慌てて口を閉ざした。
桃がにんまりしていたからだ。
「へえ、脱いだらすごいんです系?ちょっと見てみたいかもー!男の人の裸なんか見たことないもんなー」
高校は女子高。
桃は中学時代もモテたが一向に男子に興味がなく、現在まで至っている。
「あ、そこの…三成様のお小姓さん!」
町を一周し、買うものを買って漬物屋の前で通り過ぎようとした時、禿頭の店主が桃を呼び止めた。
「呼んだ?どうしたの?」
「いや、実はあれから味見…というのを試してみたらね、そしたらお客さんがどんどん増えてね。お小姓さんのおかげだよ」
「お小姓さんだなんてー。これから桃って呼んでね!あんまり長く居ないかもしんないけど」
――そう、帰らなければ。
だがオーパーツが一体どんな形で何であるかも桃にはわからない。
「三成様にうちの漬物食べてもらってね桃!待ってるよ!」
買ったものを全て大山に持たせたまま桃は店主に手を振って歩き出した。
「おぬしは…不思議な女子よのう」
「そお?お化けが怖い普通の女の子だよ!」
――もしかしたらあの堅物の三成を変えることができるかもしれない。
ついうっかり大山は桃にそんな期待を寄せてしまいながら一緒に歩き出した。