優しい手①~戦国:石田三成~【完】
「むっつりスケベ!エッチ!」


「な、何を言う!そなたとて俺の裸をなめ回すような目で…」


「そ、そんな目で見てないもんっ!」


――何やら言い合いをしながらクロの背に桃が跨がり、三成が何故か上半身裸で戻ってきたのを見た謙信が吹き出した。


「おやおや…また三成に一本取られたかな?」


やはり悔しがる風でもなくのんびり。


「そろそろ帰ろうか。…あれ?姫はどうして三成のを着てるの?」


あからさまに顔色を変えた桃に対し、落ち着きを取り戻した三成がクロを岸へ引っ張り上げながら代わりに答えた。


「こいつに暴れられて脱げた。桃、着替えてこい」


「ではまた拙者が見張り番に…」


勢い込む幸村とは対照的に、三成を盗み見する桃をじっと見つめていた政宗が腰を上げて桃のリュックを担いだ。


「その男は前科がある故俺が見ていてやる」


「え、前科?」


「ま、政宗公!」


先に立って歩き出した政宗の後を桃が追いかける。

――前科といえば政宗の方があるのだが、ようやく立ち止まった政宗に追いつくとリュックを手渡した。


「さあ、着替えるがいい。他の男の服など早く脱げ」


「み…見ないでね?」


「しかと見てやると言っているではないか。男に二言はない」


ようやく安心した桃が背を向けて着替えだし、三成の服を脱いで下着をつけ、そこで異変に気付く。


…背中に注がれる視線に。


「政宗さん!?な、なんでこっち向いてるの!?」


「なに?しかと見てやると言ったではないか」


――ずんずんと近付いてきてはセーラーで胸を隠し、あわあわしながら見上げると、にやりと笑った。


「案ずるな。半分は脚しか見てなかった」


「…あと半分は!?」


言葉遊びに引っ掛けられて泡を食う桃に愉快な気分にさせられて、久々に心から笑った。


「そなたは真に面白き女子だな!脚だけでも俺を魅了するばかりか器量も良い。桃、我が伊達家に嫁げ。そして子を山ほど生んでくれ」


「え、えっ?ちょ、政宗さ、いた…っ、んんっ」


乱暴に重なってきた唇は徐々に優しくなり違う魅力に捕われる。
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