優しい手①~戦国:石田三成~【完】
三成に抱きしめられて、すぐ傍で息遣いを感じながら、姉たちのことを思った。


「私のお姉ちゃんたちね、すごくモテて自慢だったの。付き合ってる男の人がいつも違ったり。私は全然居なかったのになあ」


「それは俺にとって幸運ともいえる。そなたのはじめてになるのは、俺だからな」


――また危うく迫られそうになって、顔を胸に押し付けるとそろり、と三成の手がお尻の上で動いた。


「うひゃっ!」


「そなたは細すぎる。こんなでは子を沢山生めぬではないか」


「え、子供って…っ」


手はさらに撫でるように動き、優しい手の動きは桃を限界までドキドキさせてフワフワとさせた。


「俺のことを好きだと言うならば、そなたからも何か証がほしい。何をくれる?」


「証…?三成さ、手…っ、止めて…っ!」


「駄目だ。桃、俺に何か証をくれ。そうすれば…しばらくはこの不安から解放される」


――不安。

確かに互いに不安を感じている。


“帰る者”と”残る者”。


「どうすれば…いいの?」


「桃のしたいように」


――とてもじゃないけれど、三成の…顔と手以外の部分には…恥ずかしすぎて触れることができない。


多分三成は、その“顔と手以外”の部分に触れてくることを望んでいるのだろう。


…男の身体になど、小さな頃にかすかに覚えている父親くらいしか見たことも触ったこともなく、

ついこの前はじめて…一糸纏わぬ裸を見てしまったのはこの三成がはじめてだ。


「は、恥ずかしいよ…無理だよ…」


「無理なら俺からまた何かするが、いいのか?」


意地悪を言われて、耳元でくつくつと笑う三成の胸を軽く叩くと少しはだけた胸を見つめて…


さっき三成から胸にキスされたのを思い出して…同じことをした。


「…ん…っ」


漏れた男の色っぽい声に、桃の頭の中はパニックになる。

キスがこんなに気持ちいいものだと教えてくれたのも、三成だ。


「ああ…、桃、駄目だ…頭がおかしくなってしまう…!」


激しいキスが桃を襲う。

唇が重なり合う音が部屋に満ちて、その激しさに桃は気を失った。

…嬉しかった。
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