優しい手①~戦国:石田三成~【完】
「では我らは先に風呂へ入ってくる。…謙信と2人で危なくはないか?」


「え?謙信さんは味方だしほのぼのしてるから大丈夫だよ」


――『軍神』と讃えられる男に“ほのぼの”などと称するのは桃だけだろう。


だが誰もそれを桃に教えてやることもなく部屋を後にして、最後に三成から忠告を受けた。


「気を付けろ」


「?うん」


何に?と聞きたかったが、気持ちよさそうに寝ている謙信の隣に座ると、その長い睫毛に見入った。


「睫毛ながっ。本当に綺麗な人。やっぱり謙信さんのDNAは残さなきゃいけないよね。清野さんは謙信さんのこと好きっぽかったしどうかな…」


「でぃーえぬえーってなに?」


寝ていたはずの謙信から急に声が聞こえたのでびっくりしすぎた桃は座ったまま後ずさった。


「下着が見えてるよ」


「!」


慌ててめくれ上がったスカートを隠すと、座布団を放り投げて桃の太股に頭を預けてきた。


「うん、ふかふか。こっちがいいや」


「ちょ、ちょっと謙信さん…」


「駄目?膝枕は男の憧れなんだよ」


困っていると、太股を指先でなぞられて背筋が震えてぴんと伸びてしまう。


「みんな私がどういう行動に出るかわかってて風呂に行ったのかな。何もしないわけないのにねえ」


太股に頬ずりをされて、とうとう桃が声を上げる。


「ひゃ…っ」


「この奥はまだ攻め込んだことがないなあ。この戦に勝つ自信はあるんだけど、姫はどう?」


「駄目…、だ、め…っ」


ほとんど覆い被さられるような態勢になった時、謙信の動きが止まった。


「いやだけど、受け入れてもみたい。そんな顔をしているね」


「!!そんなこと、ないもんっ」


「三成は思わぬ強敵だね。正直ここまで競ってくるとは思ってなかったよ」


わからないなりに、スカートのファスナーを突き止めた謙信がゆっくりとファスナーを下げながらまた桃に向かって身を乗り出した。


「駄目、駄目!」


「三成たちが帰ってくるまでに全部終わらせてしまおうね」


――攻め込んでくる。

抗いようのない激流に、翻弄される。
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