優しい手①~戦国:石田三成~【完】
身体全体に万遍なく謙信が唇を這わせて…


終始熱に浮かされそうになりながらも、謙信は絶えず桃を笑わせていた。


「も、くすぐった…、謙信さ、やめて!」


「桃は敏感なんだね、じゃあ…ここは?」


「やだ、やだやだ、も、お腹いた…っ」


強く抱きしめられながらも、優しい瞳をしていた。


――とても気遣われていることが嬉しくて、


ずっと待っていてくれた謙信に応えなければと思って、脱がされて丸められて隅に放られている浴衣を見つめ、そして謙信と見つめ合って…


「謙信さん…もう、大丈夫だから。私…三成さんのこと…忘れなきゃ。前に進まなきゃ…」


「桃…無理をすることはないんだ。前に進みたい時は私が背負ってあげるし、立ち止まりたい時は一緒に饅頭でも食べてのんびりしよう。私は君にとってかけがえのない存在で居たい。だから無理をしないで」


「ありがとう謙信さん…。私もう、平気だよ。謙信さん、どこまで我慢できる?今日はもうこのまま寝ちゃう?」


――ようやく目が慣れてきて、白く滑らかな謙信の裸体が見えた。


…ものすごく恥ずかしかったけれど、もう後に退くことはできない。


謙信は苦笑し、桃の手を取ると心臓に押し付ける。


「冗談でしょ?こんなに焦らされてしまったらそれこそ私は清野でも誰でもいいから女子を抱きに行くよ」


「!う、嘘だよ、ごめんなさい。謙信さん…」


唇が重なり合う。

みるみる間に激しいものへと変わって、縺れ合い、布団はくたくたになった。


「私の激しさを見せてあげる。君にしか見せない。君だけが、私の全てを知る唯一の女子になる」


「謙信さ………、あぁっ」


重なり合い、夢の中に居るように心も身体もとろけて、顔の横で絡み合う指と、見下ろしてくる謙信の艶やかでいて嬉しそうな表情を見た桃は…


この男に嫁ごう、と決めた。


だが両親のことは忘れていない。

必ず助けて、元の時代に戻ってもらう。


…姉たちは許してくれないかもしれないけれど、謙信に、全てを捧げたい。


「も、も……っ、君は、最高だ…!」


「謙信さ、ん……っ」


謙信の預言は現実のものとなった。
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