優しい手①~戦国:石田三成~【完】
幸村と2人でクロに餌をやって身体を磨いてやり、元陸上部の桃は身体を毎朝動かさないとむずむずしてしまうので、ハーフパンツにTシャツという出で立ちで城の回りをランニングしていた。
最初は皆がその格好に驚いて目を見張っていたが、最近は声をかけてくれる。
そんな中、庭の井戸の前で半裸になり、水を被っていた三成を見つけた。
…痛々しい傷跡が見えて脚が止まる。
忘れられた今も三成を見ると安心して、ほっとできる。
謙信とは違う安らぎを与えてくれる男――
「三成さん」
「!桃、姫…」
長い前髪から水滴がぽとぽとと落ちて頬を伝い、首を伝ってゆく。
それがとても綺麗で、男らしい胸板を直視できずに俯きながら近付いて、手を引っ張った。
「消毒してあげるから部屋に行こ」
「薬師から薬草を薬湯をもらったからそれで…」
「すっごく効くのがあるからお願い。消毒させて」
「…わかった。すまぬ」
桃も汗をかいていたので、思いきり豪快に頭から水を被った。
「気持ちいー!」
「風邪を引くぞ」
洗いたての手拭いで髪や顔を拭いてくれて、少し見つめ合った。
「……行こう」
三成が率先して歩き出して、桃が後を追う。
その間2人共何も話さず、桃の部屋へ着くと早速バッグをあさって中から消毒液とコットンと鎮痛剤の錠剤を出した。
「これね、私の時代でよく使ってたやつ。まだ余ってるからこれ使お」
「いいのか?大事なものでは…」
固辞しようとした三成を無理矢理座らせて、容器を押して傷口に消毒液を吹きかけた。
「つ…っ」
「ちょっとだけ我慢しててね」
――伏し目がちに消毒液を吹きかけてはコットンで拭いて、それを繰り返す桃の長い睫毛を見つめていた。
それに気付いた桃が一瞬顔を上げて、また胸の傷に視線を戻す。
だが三成は見つめ続けた。
「…なんで見てるの」
「そなたは綺麗だ」
「!や、やめてよ…」
「桃姫、俺の口づけは…どうだった?」
顎を取って顔を上向かせた。
そして強引に奪う。
かつては自分のものだった唇を――
最初は皆がその格好に驚いて目を見張っていたが、最近は声をかけてくれる。
そんな中、庭の井戸の前で半裸になり、水を被っていた三成を見つけた。
…痛々しい傷跡が見えて脚が止まる。
忘れられた今も三成を見ると安心して、ほっとできる。
謙信とは違う安らぎを与えてくれる男――
「三成さん」
「!桃、姫…」
長い前髪から水滴がぽとぽとと落ちて頬を伝い、首を伝ってゆく。
それがとても綺麗で、男らしい胸板を直視できずに俯きながら近付いて、手を引っ張った。
「消毒してあげるから部屋に行こ」
「薬師から薬草を薬湯をもらったからそれで…」
「すっごく効くのがあるからお願い。消毒させて」
「…わかった。すまぬ」
桃も汗をかいていたので、思いきり豪快に頭から水を被った。
「気持ちいー!」
「風邪を引くぞ」
洗いたての手拭いで髪や顔を拭いてくれて、少し見つめ合った。
「……行こう」
三成が率先して歩き出して、桃が後を追う。
その間2人共何も話さず、桃の部屋へ着くと早速バッグをあさって中から消毒液とコットンと鎮痛剤の錠剤を出した。
「これね、私の時代でよく使ってたやつ。まだ余ってるからこれ使お」
「いいのか?大事なものでは…」
固辞しようとした三成を無理矢理座らせて、容器を押して傷口に消毒液を吹きかけた。
「つ…っ」
「ちょっとだけ我慢しててね」
――伏し目がちに消毒液を吹きかけてはコットンで拭いて、それを繰り返す桃の長い睫毛を見つめていた。
それに気付いた桃が一瞬顔を上げて、また胸の傷に視線を戻す。
だが三成は見つめ続けた。
「…なんで見てるの」
「そなたは綺麗だ」
「!や、やめてよ…」
「桃姫、俺の口づけは…どうだった?」
顎を取って顔を上向かせた。
そして強引に奪う。
かつては自分のものだった唇を――