優しい手①~戦国:石田三成~【完】
言われた通り大人しく輿に乗っているのは、久々の生理で本当に身体がつらいからだった。
現代から持ってきた鎮痛剤はまだ少し余っていたが、こんなことで使うのはもったいないし、これからも使わないかもしれない。
…現代から持ってきたものは全て宝物。
今まで着ていたTシャツやセーラー服も…全部大切にして、この時代を生きてゆく。
「桃、大丈夫か?」
「三成さん?うん大丈夫。みんなに背負ってもらってるみたいで申し訳ないけど…」
「桃姫様の馬となれることに皆喜びを感じております。お気になさらず」
もちろん桃の傍から離れない幸村がそう声をかけると、桃は御簾を少しだけ上げて輿を持ってくれている皆に笑いかけた。
「みんなありがとう。重たいのにごめんね」
「いえ、何のこれしき!」
声をかけられて逆に奮起した兵たちは頼もしく、桃は輿に揺られながら今後のことを考えていた。
…三成は越後に残ってくれる。
謙信はこの国に平定をもたらすために腰を上げる。
そして…自分は?
「私…結局なんにも決められてないんだよね。これじゃ駄目。これじゃ絶対駄目」
――元々こんな優柔不断な性格ではないはずなのに、三成と謙信と出会ってからこっち…右に左にぶれまくりだ。
現代では女子高だったし、いつか彼氏が欲しいとは思っていたが…彼氏が2人居るのは言わば“二股”と同じ。
桃はうんうんと頭を悩ませ、そして30分後、考えるのをやめた。
「桃…最初から決まってるでしょ。謙信さんが天下を治めたらちゃんと言おうね。2人に何て言われても平気。平気だから」
自身に言い聞かせて膝を抱えてじっとしていると、数時間後…城へと着いた。
一気にほっとして、出迎えに来てくれた仙桃院と茶々の顔を見た時、一気に気が緩んで涙ぐんだ。
「茶々さん…仙桃院さん…」
「桃姫…城へ帰ってきたということは…ここへ残るのですね!?」
「姉上、とにかく中へ。私から戦況と今後のことをお話いたしますので」
似た者同士の綺麗な2人は肩を並べて歩き出し、桃は隣の三成を見上げながら袖を引っ張った。
「緊張しているな?」
「うん…。ねえ、手を繋いでてもいい?」
「な…っ、駄目だ!」
「いいもーん、勝手に繋ぐもーん」
無理矢理手を繋ぐと呆れられながらも手を握ってくれた。
現代から持ってきた鎮痛剤はまだ少し余っていたが、こんなことで使うのはもったいないし、これからも使わないかもしれない。
…現代から持ってきたものは全て宝物。
今まで着ていたTシャツやセーラー服も…全部大切にして、この時代を生きてゆく。
「桃、大丈夫か?」
「三成さん?うん大丈夫。みんなに背負ってもらってるみたいで申し訳ないけど…」
「桃姫様の馬となれることに皆喜びを感じております。お気になさらず」
もちろん桃の傍から離れない幸村がそう声をかけると、桃は御簾を少しだけ上げて輿を持ってくれている皆に笑いかけた。
「みんなありがとう。重たいのにごめんね」
「いえ、何のこれしき!」
声をかけられて逆に奮起した兵たちは頼もしく、桃は輿に揺られながら今後のことを考えていた。
…三成は越後に残ってくれる。
謙信はこの国に平定をもたらすために腰を上げる。
そして…自分は?
「私…結局なんにも決められてないんだよね。これじゃ駄目。これじゃ絶対駄目」
――元々こんな優柔不断な性格ではないはずなのに、三成と謙信と出会ってからこっち…右に左にぶれまくりだ。
現代では女子高だったし、いつか彼氏が欲しいとは思っていたが…彼氏が2人居るのは言わば“二股”と同じ。
桃はうんうんと頭を悩ませ、そして30分後、考えるのをやめた。
「桃…最初から決まってるでしょ。謙信さんが天下を治めたらちゃんと言おうね。2人に何て言われても平気。平気だから」
自身に言い聞かせて膝を抱えてじっとしていると、数時間後…城へと着いた。
一気にほっとして、出迎えに来てくれた仙桃院と茶々の顔を見た時、一気に気が緩んで涙ぐんだ。
「茶々さん…仙桃院さん…」
「桃姫…城へ帰ってきたということは…ここへ残るのですね!?」
「姉上、とにかく中へ。私から戦況と今後のことをお話いたしますので」
似た者同士の綺麗な2人は肩を並べて歩き出し、桃は隣の三成を見上げながら袖を引っ張った。
「緊張しているな?」
「うん…。ねえ、手を繋いでてもいい?」
「な…っ、駄目だ!」
「いいもーん、勝手に繋ぐもーん」
無理矢理手を繋ぐと呆れられながらも手を握ってくれた。