優しい手①~戦国:石田三成~【完】
謙信とクロちゃんに乗って城下町を通り抜けた時はあちこちから拍手喝さいの声が上がり、皆が喜んでくれているのがとても嬉しかった。
店屋は軒並み大安売りをしていたし、多くの女性が爪の色を桃色や赤色に染めているのを目敏く見つけてはしゃいだのは言うまでもない。
越後は、本当にいいところだ。
尾張もいいところだったが、自然の豊かさは断然こちらの方が綺麗だし、何よりお米が美味しい。
「お酒は本当に控えてね?飲んでもいいけど一気に沢山飲んじゃ駄目だから」
「肝に銘じておくよ。君が晩酌してくれたら少しの量で済むと思うんだけどなあ」
「うん、じゃあ私が見張っておくから。あ、幸村さんだ」
上機嫌のクロちゃんを駆って1時間ほど散策をした後城に戻ると、門の前には置き去りにされて悲しそうな顔をしていた幸村が待ち構えていた。
「桃姫!拙者を置いて行くとはひどいではありませんか」
「だって3人もクロちゃんに乗れないでしょ?今日はね、仙桃院さんとお茶を飲んでお花を習うの。私が立てたお茶飲んでくれる?」
「!は、はい!光栄にございまする!」
「こらこら、私の正室に色目を使うのはやめてもらおうかな。さあ、私も政務に戻るから、またね」
「うん、またね」
次に会えるのは恐らく夕餉の時。
その後は…朝まで謙信とは会えない。
――桃も謙信も毎日やることが多すぎて、正室となった今は妻として謙信を支えるための勉強もしなくてはならない。
仙桃院と会ってあれこれ教えてもらっているうちにいつの間にか昼になり、夕暮れになり…
相変わらずひっきりなりにやってくる各国の大名に長ったらしく祝辞を述べられて、上座でうんざり顔をしている謙信を覗きに行った後、朝からどこにいるかわからない三成のことを考えてどきどきしつつ、景虎や景勝たちと夕餉を摂った。
「あ、あの…三成さんを知らない?」
「三成殿…ですか?昼間は庭で稽古をされていましたが、今はどちらに居るのやら…。どうなさいましたか?」
「え?ううん、なんでもないよ。このお味噌汁美味しいね!」
「それはもう越後で採れた米で作られております故!ちなみにこの味噌は…」
景虎が自慢げに米の話を始めたので、話題が逸れた桃は密かにほっと胸を撫で下ろしながら、夜を迎えた。
店屋は軒並み大安売りをしていたし、多くの女性が爪の色を桃色や赤色に染めているのを目敏く見つけてはしゃいだのは言うまでもない。
越後は、本当にいいところだ。
尾張もいいところだったが、自然の豊かさは断然こちらの方が綺麗だし、何よりお米が美味しい。
「お酒は本当に控えてね?飲んでもいいけど一気に沢山飲んじゃ駄目だから」
「肝に銘じておくよ。君が晩酌してくれたら少しの量で済むと思うんだけどなあ」
「うん、じゃあ私が見張っておくから。あ、幸村さんだ」
上機嫌のクロちゃんを駆って1時間ほど散策をした後城に戻ると、門の前には置き去りにされて悲しそうな顔をしていた幸村が待ち構えていた。
「桃姫!拙者を置いて行くとはひどいではありませんか」
「だって3人もクロちゃんに乗れないでしょ?今日はね、仙桃院さんとお茶を飲んでお花を習うの。私が立てたお茶飲んでくれる?」
「!は、はい!光栄にございまする!」
「こらこら、私の正室に色目を使うのはやめてもらおうかな。さあ、私も政務に戻るから、またね」
「うん、またね」
次に会えるのは恐らく夕餉の時。
その後は…朝まで謙信とは会えない。
――桃も謙信も毎日やることが多すぎて、正室となった今は妻として謙信を支えるための勉強もしなくてはならない。
仙桃院と会ってあれこれ教えてもらっているうちにいつの間にか昼になり、夕暮れになり…
相変わらずひっきりなりにやってくる各国の大名に長ったらしく祝辞を述べられて、上座でうんざり顔をしている謙信を覗きに行った後、朝からどこにいるかわからない三成のことを考えてどきどきしつつ、景虎や景勝たちと夕餉を摂った。
「あ、あの…三成さんを知らない?」
「三成殿…ですか?昼間は庭で稽古をされていましたが、今はどちらに居るのやら…。どうなさいましたか?」
「え?ううん、なんでもないよ。このお味噌汁美味しいね!」
「それはもう越後で採れた米で作られております故!ちなみにこの味噌は…」
景虎が自慢げに米の話を始めたので、話題が逸れた桃は密かにほっと胸を撫で下ろしながら、夜を迎えた。