光の魔法を君に 【番外編】
「――――こらっ!逃げるなっ!!」
「逃げるわよっ!ばかっ!!」
城から出て心配されるかしら。
っていう罪悪感があるけれど今は追手から逃げることが重要なのよっ!
自分で無理矢理に納得させていっそうスピードをあげる。
「――ジュハ、」
走る足は止めずに使い魔を喚ぶ。
「………なんや。」
と、呆れた目で此方を見る私の使い魔、牡鹿のジュハ。
父様の使い魔は牡鹿だけど私のジュハとは違う種類。どっちかっていうと私の使い魔の方が狂暴性は高く、体のサイズもデカイのだけれど。
「お願い。」
「…………しゃあないな。」
「ありがとっ!」
少しためて跳ぶ。
そのまま、ジュハの背中に乗って、私はもう一匹の使い魔を喚ぶ。
「デオ、母様に言ってきて。」
艶やかな毛並みを翻して私の伝言を伝えるために逆方向へ走り出す狼のデオ。母様と父様の使い魔と被るのは2人の血を強く受け継いでいるから――――。
そう、金銀の色彩を持つ光の姫と称される母と水の柔らかで強い意思を持つこの国の王を父に持つ、私は2人の子供だ。
兄のように、父の“いろ”を濃く受け継いだ訳でもなく、
姉のように、母の“いろ”を濃く受け継いだ訳でもなく、
私は、2人の“いろ”を混ぜて溶かしたような“いろ”を持つ稀少な存在なのだ。