光の魔法を君に 【番外編】
「あ、もうすぐよ。」
風を纏わせ、走らせていたから随分、速くついた。
「………あと、どれくらいや。」
「大丈夫よ、心配しなくて。術式はもう完成させてあるから。」
そう言うとジュハは走るのをやめた。まとっていた風はスルリ、と吹いていった。
「でも、用心するにこしたことはないで。」
ゆっくりと足を折り、私をおろす。わかってるよ、心配だってこと。王族だから拐われて命を狙われる可能性だってある。
「わかったわ。」
ジュハの背中からおりて、力を抜いた状態でたつ。
「―――闇よ、我に纏いし、我の姿を偽り隠せよ。」
掌に書いた術式が光り、地に同じ紋様を写し出す。
私を偽る色に変わっていく。
何処にでもいるような赤髪にごけ茶の瞳。
自分じゃない色にそまるって少しだけキツい。
誇りを自ら汚す行為をしているのかもしれない。
「―――俺、はどうするんや?」
ジュハの毛色は銀。
でも、この色を隠すのは気が引ける。
「いいよ、そのままで。」
微笑む、母様と同じ色をした使い魔に。