光の魔法を君に 【番外編】
誰かが手引きをした…
そうとしか考えれない。ならば、空羽が危険に晒される?いや、あいつの事だ。逆に仕返しそうだが。
でも、内通者がいたとしてもあの結界をとけるほどの力を持つ者なんてそうそういない。だとしたら―――
考えを巡らせていたところに、いらっしゃいましたよ。
一番の難所が。
コツコツと軽快でも品のある足音を聞いた瞬間逃げたしたい衝動に駆られた。
「――やぁ、篤。」
笑顔で片手を挙げて挨拶をする――――第一王位継承者、蒼様が。
「………」
俺は無言で道をあけ、頭をさげる。此れが王族に敬意を表するときや、城の中で出会ったときにする行動なのだか俺は、敬意じゃなくて恐怖を抱いてます。
だって、目が笑っていないんだ。
「空羽がいつも、世話になっているね。」
「いえ、」
ツーッと冷や汗が背中を落ちていくのを感じる。
ヤバイヤバイヤバイ。直球ですか蒼様。
「―――篤、君は空羽をどう思っているんだい?」
―――真っ直ぐな瞳。
こんなとこであの、夢羽様の子供だと言うことを認識する。
真実を求めるまでこの瞳から光が無くなることはない。
あぁ、俺は馬鹿なのかも。
知らなかったのは、俺だけじゃないのか。この方はもう既にすべてを知っておられるのだ。
此方が何もかも、隠すことができないように。
この方は、偽りを赦さないのだ。
真っ直ぐ、ただ妹を思う兄としての瞳に俺も応える。
「―――大切です。」
―――何者にも変えがたいほど。
―――空羽は唯一無二の存在なんです。