光の魔法を君に 【番外編】


「――空羽!!」


なんで、そんな切羽詰まったような声で私を呼ぶの。


「あつ、…………!」


よく知る手に腕をひかれて、反射で名を呼ぶ前に、



「ばか野郎っ!」



―――抱き締められた。



こんなに温かくて、安心する腕の中を私はここ以外には知らない。

「なんで、出ていったんだ!馬鹿かっ!!馬鹿だな、お前はっ!!あぁっ、お前はホントに!襲われそうになってやがるのに、なんで、何時もみたいにしないっ!!この阿呆っ!」



あぁ、耳がキーンってする。
怒鳴らないでよ、



「なんで、なんで、追いかけてくるのよっ!!」


手に持っていた月白をカチャリ、と動かす。もう、なんでもいい。



―――貴方が手に入らないなら。



「おわっ、あぶねーぞ!」


振り回そう、とした手を易々と掴まれて月白を落とされた。
カラン、なんて軽い音が辺りに響いた。


「離してっ!!離しなさいっ!―――篤!!」


篤、と名を呼べば私を力強く抱き締める。なんで、なんで、そんな


「強く、抱き締めるの………」



弱々しく、声を発し。
抵抗していた腕をダラリ、とおろす。


「私のこと、好きじゃないくせに………好きじゃないなら半端な優しさなんていらないっ!」


―――だから、離してっ!


腕に力を入れて胸板をおす。
なのに、逆にとらえられる。


「ふざけんなっ!!この阿呆!」

ぐい、と怒鳴り声と一緒に深く口付けられる。


「……っん!!」



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