光の魔法を君に 【番外編】
ふわり、と頬に当たる柔らかな髪に気づいて目が覚めた。
隣ですやすやと安らかな寝顔で寝ている彼女を起こさないようにしてゆっくりと体を起こす。
窓からのぞくソラがまだ暁にも染まってない。
随分と早い時間に起きてしまったのだと気づく。
あぁ、でもやらないといけないことが……。
と頭の中で今日の予定を引っ張り出してはた、と止まる。
「今日は、特に何もない日だった……」
即位してからやることが多くて働きづめだったために海が無理矢理にでも押し込んだ休みだ。
でも、休みを取るために寝る間も無いほどの公務があったのだけれど。
まだ、暗いなかで銀の光を放つ隣で眠る彼女は何も言わずにただ笑って労ってくれる。
自分だって忙しいくせに、寂しいと言わずに……。彼女が寝ている間に帰ってきて起きる前にでて行くのだから最近、会話をしてない気がする。
溜め息が喉までせり上がってきたとき、服を弱い力が引っ張る。
小さく、小さく、服の端を握りしめて
「そら、……さびしい、」
こう言ったのだ。
その言葉は寝言とはいえ俺をノックアウトするのには充分な威力で思わずシーツを握りしめたのだ。
ふぅ、危ない。
「もう、夢羽……」
柔らかな彼女の髪を梳いて煌めく銀にキスを落として。
もう一度、布団の中に潜り込んで彼女を抱きしめる。すると、すりすりと寄ってくる彼女に愛しさを覚えながら
「夢羽、おやすみ。」
今日は城下町に行こうか。
たまには昼過ぎに起きてもまだ時間はたくさんある。
それに結婚式までに彼女と2人で城を抜け出したい。
いづれくる、明るい未来に想いを馳せながらゆっくりと目を閉じた。
そう、たまには。
君と2人でゆっくり眠ろうか?