偽恋愛上等ッ！！【短編】

「‥‥‥はい」

『コウ』は驚いた顔で振り向いた。

「あの、あたし香山玲っていいます！
一目惚れしました！
もし良かったら‥‥これ」

あたしは握りしめすぎて
ぐちゃぐちゃになったアドレスの紙を渡した。



『コウ』はぽかんとした顔をしたまま
「あ、はい‥‥。」
と言って紙を受け取った。


チャラ男だからもっとノッてくるかと思ったけど
意外におとなしい。

まぁさすがのチャラ男でも
突然アドレス渡されたらビックリするか。


あたしは
「じゃあ、さようなら！」
と言って猛ダッシュでその場から逃げ、
駅の外の女子トイレにかけこんだ。


やった！
やったよあたし！


心臓がバクバクするし
手も脚もガクガク震えてる。


でもこれで『コウ』と知り合うっていう第一歩、成功！
今に見てろ、クソ男！！