偽恋愛上等ッ!!【短編】
あたしがついていくと、
コウジはサンダルを脱いで海に足をつけた。

「気持ちいー!」

コウジは足踏みをして、水をバシャバシャさせる。
はしゃぐ姿は、子供みたいだ。



「あたしも入りたいっ!」

「でも玲、ゆかたじゃん!」

「まくれば大丈夫だよ!‥‥ほら!」



あたしは浴衣を膝までまくって、
ふくらはぎまで海に入った。
海の水は、夏の気温で少しぬるくなっていたけど
冷たくて気持ちがいい。

波はほとんどないのに
遠くの方から響くように、ゆっくりした波の音がした。
花火の音とまざって
何だかものすごく、夏を感じる。



「きれい!」



海から花火を見ると、
遠くの堤防からあがる花火が
海の中からあがっているみたいに見えた。



空の高いところで花火が開く瞬間、
花火が海に反射してうつる。

海は波でゆらゆらしているから、
海にうつる花火もゆらゆらと光った。
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