*short.short*


*When changing to a sweetheart*


「ちょっと、煙草…、吸うんならベランダに行ってよね」

「あ…、わり」


彼は煙草をくわえたままベッドから起き上がると、下着だけを身に付けて。


カラカラとサッシを開けて徐に煙草に火を点ける。


「……、寒い。閉めて」

「お前はフトンの中だろ?俺なんかパンツ一丁だ」

「寒いモンは寒いの、閉めて」


彼は窓辺に腰掛けて、灰皿がわりにしている缶ビールの空き缶に灰を落としながら、ホワンと煙で大きな輪っかを作り出す。


輪っかがゆっくりと広がりながら星空に消えていく。


どうやら窓を閉めてくる気はないらしい。


「……なあ」

「ん?何?」

「お前、あれから彼氏出来た?」

「それがね〜…中々いい男居なくて……、てか、居たらあんた呼び出したりしないし、あんたは?」

「はは…、俺も同じ」


お互い割り切った関係を続けて三年目。


気を使わなくていいコイツとは、お互いパートナーが居ない時、身体の相性もいいから、美容の為にも今だ切れる事なく続いている。


「何でかね?続かないんだよね、こんなにいい女なのに…」

「俺とは続いてんのにな?」

「ははは、そうだね?」


窓から入り込む冷たい空気に身をすぼめながら、毛布を耳元まで引き上げる。


「……俺達さあ…」

「うん?」

「もう付き合ってるも同じじゃね?」


振り返って私を見つめる彼の眼差しがいつなく真剣で、ドキリと心臓がひとつ脈打つ。


「俺…、お前以外抱きたくね―わ、あのさ?今日から、セフレ、やめない?」




*end*
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