*short.short*


*The heel which broke*



三年付き合った彼氏にさっきフラれた。


もうすぐ三十路。
焦っていたのかも知れない。


同級生がバンバン結婚したり、バンバン子供産んだり。


さりげなく、テーブルの上に結婚式場のパンフ置いたりしたのがいけなかったのか……。


でも、普通三年も付き合ったなら歳も歳だし……、そろそろって考えるのが普通じゃない?


なのに私がそんな態度をとり出したら急によそよそしくなってしまった彼……。


なんか……。
考えてたら腹立ってきた。


カツカツとヒールを鳴らして、徐々に込み上げてくる怒りに任せて小走りに歩く。


−−パキッ!


「おわっ!?」


片方のヒールが折れて、ガクンとよろけてそのまま尻餅。


もうっ!
何なのっ?
今日は最悪な一日だ。


行き交う夜の人混みの中、尻餅をついても誰も見向きもしない。


なんか……、泣けてくる。


「あれ?先輩?」


アスファルトにお尻をつけたまま見上げると、そこには会社の後輩。


「先輩…泣いてる?どうかした?」


もう私、ヤケクソで。


「男に捨てられたのよ!悪いっ!?」

「待ってました!やっとフラれましたかっ!」

「……は?」

「先輩、ずっと好きでした。俺と付き合って下さい」



*end*
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