親愛なる貴方様。
1xxx手紙屋







街中に響く楽しいメロディ、そして鮮やかに輝くイルミネーション。赤、青、緑、黄色。それはキラキラと私の心とは真逆の様。


今日は12月24日。


世間はクリスマスイブ。通りすぎる人達はカップルや家族、子供達に友だち同士。みんな幸せそうな顔をしていた。


『はぁ………』

そんな中、私は一人でため息をつく。

大きなクリスマスツリーが見えるベンチに座りながら、来るはずのない人を待っていた。




『長谷川 璃子様』


突然名前を呼ばれてうつ向いていた顔を上げた。そこに居たのは見知らぬ人。


『貴方様にお手紙が届いています』


違和感のある丁寧口調に、コスプレのような郵便配達の服。帽子を深く被り顔はよく見えないけれど恐らく同い年くらいの男の子。




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