親愛なる貴方様。
今までの感謝や言えなかった事。思い出話しにこれからの話。
そして私のあっちゃんへの気持ち。
私も後悔したくないから、ちゃんと全部伝える。途中で涙がこぼれそうになったけど便箋が濡れないよう最後まで書ききった。
『これ、お願いします』
私は手紙をナツメに渡した。
ナツメはカバンから赤い棒状のものを出した。
それは蝋の塊で、火で炙って溶かすとポタポタと便箋の開き口に垂らす。そして蝋が固まる前に素早く印璽(いんじ)を押し付けた。
すると赤い蝋はまるで花のような形になり、中央には天使の羽が刻まれている。
あっちゃんもこうして私に手紙を出したと思ったら、なんだか繋がってる気がした。
『確かに長谷川璃子様のお手紙はこのナツメがお受け取りしました。必ずお届け致しますのでご安心を』
ナツメはそう言って私の手紙を大事にカバンへと入れた。