親愛なる貴方様。






この手紙は遠い遠いあっちゃんの元へと運ばれていく。まだ実感はないけれどあっちゃんの手紙は私に届いたからきっとナツメは届けてくれるだろう。


私の手紙を読んであっちゃんが何を想うのか、

それを知るすべはない。


一度きり、たった一人にだけ送る事が出来る不思議な手紙。だからこそ嘘偽りない手紙が生まれるんだと思う。



『あの、最後に一つだけ聞いてもいいですか?』



私はナツメを呼び止めた。

きっとこの人とももう会う事はない。だから最後に……………。



『あっちゃんが居る場所は幸せな所ですか?』


私の幸せを願ってくれるなら、私もあっちゃんの幸せを願ってる。

笑っていて欲しい、私の大切な人。


ナツメは制帽を深く被り、ニコリと微笑む。




『手紙を書けるようなそんな素敵な場所ですよ』


その言葉を最期にナツメの姿は私に見えなくなった。



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