親愛なる貴方様。






『はい、これは條原様が長谷川璃子様宛てに書いた手紙でございます』


私は二次元のものとか、目に見えないものは信じない。でももしこれが本当にあっちゃんからの手紙だったとしたら………。



『つまりそれって天国からの手紙って事?』



そう、條原敦也は半年前に死んでいる。


私の家に来る途中、交通事故で帰らぬ人となった。同じ17歳で小さい頃からずっと一緒だった私の幼なじみ。

幼稚園も小学校も中学校も高校も同じで、お互いなんでも分かり合ってた。


数えきれないほど喧嘩もしたし、絶交もした。

でもその度に仲直りして、いつも謝るのはあっちゃんの方。それで私のわがまま一つ聞いてくれる。


時には兄弟、時には親友、時には家族。

あっちゃんがいなかった時間を私は知らない。


本当は今もどこかで探してる。

あっちゃんが居なくなった事を認められずに居るんだ。



『読めない……っ。だって別れたくないもん』



さよならなんて言われなくない。どうせ別れの手紙なら私は読みたくなんかない。



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