親愛なる貴方様。
すると、ナツメは手紙を見つめながら言った。
『常世から手紙を送れるのは一度だけ。そしてそれは一人にしか送れない。この意味がお分かりですか?』
『……………』
『條原敦也様は沢山居る大切な方々の中で長谷川様に手紙を書いた。つまり現世に残る最後の言葉を貴方様に送ったのです』
家族でもなく、友だちでもなく、幼なじみの私に?
今まで我慢していた涙が溢れるように流れた。
あっちゃんと過ごした長い間、私達は沢山の言葉を交わしたけれど、まだ伝えたい事が山ほどある。それはあっちゃんも同じ。
『それでも貴方は手紙を読みませんか?』
あっちゃんからの手紙、伝えたい事。
それを遠い遠い場所から、一度きりの手紙屋を通じて送ってきた。
私は涙を拭って、手紙を開いた-----------。